船窪小屋をたずねて2 -船窪テン場→針ノ木小屋-

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-明日のことは、起きた時間と、天気と、気分で決めよう。

いつの間にか眠りについた1日目。

目を覚ますと、朝になっていた。

時刻は朝4時40分。

テントを出て伸びをする。

体調は、すこぶる良し。

天気は曇り、雨が来そう。

予報では午後に回復。

さあ、どうしよう?

<昨日考えた選択肢>

・どこへも行かずに読書

・船窪岳

・北葛岳

・蓮華岳

・針ノ木峠、蓮華、北葛、七倉を通って船窪に戻る


なんだか今日は、素敵なことが起こる予感がしていた。

そんな日は、遠出をするのがいい。

よし、今日は針ノ木、蓮華、北葛、七倉をぐるっと回ってこよう。

テントを出て3分、今日の予定は決まった。

<2日目 船窪テン場→針ノ木小屋>

まずはパンを食べて、軽く腹ごしらえをする。

今日はコースタイムだと10時間を超える長丁場だ。

今の時間は5時10分。

小屋に辿りつくのは15時ごろ・・・

もし何かあったら16時ごろ・・・

荷物は軽いので、これよりも幾分か早まるだろう。

少し遅いけど、日の長い時期なので良しとしよう。

昨日のうちにパッキングしたザックを背負い、テン場を後にした。


まずは船窪乗越を下る。

倒木

雲が集まっているところは七倉ダムだろうか?

岩山

ベニテングさんかな?

紅テン

露に濡れた木々や植物に癒されながら、2時間も歩いただろうか。

不意に沢の音が耳に入った。

針ノ木谷が近い。

もう少しで沢に出るんだ。

それから30分ほど歩くと、船窪出合に出た。

船窪出合1

少し大きな石に、フナクボ出合の文字。

船窪出合

雨が降りはじめた。

さて、ここからどっちに進むんだ?

ん?

・・・・・・お!!

あたりよく見回すと、大きな石に矢印と消えかかって読めない文字が記してあった。

あっちか。

矢印は、沢の上流を指していた。

まずは渡渉で対岸へ。

少し歩くと、踏み跡が消えた。

・・・?

再びあたりを見回すと、今度は中州の岩に目立たない丸印があった。

また渡るのか。

船窪出合から針ノ木谷出合まではとにかく道が分かりにくい。

『山と高原地図』には、

「下部は沢歩きに近い 要注意」

「登行時出合を見逃しやすい」

と書いてあるが、想像以上に分かりにくい。

 

前後左右をよく見て印を探し、それと同時に渡渉できそうなポイントも探しながら歩く。

後方から男性が、前方から数名のパーティーが来た。

今いる場所は、きっと登山道の上だ。

良かった、迷子じゃない。

何度も渡渉を繰り返し、歩くこと30分弱。

左手に大きな道が現れた。

ここが針ノ木谷出合か。

ほっと一息ついた。やれやれだ。

ここからさらに渡渉を繰り返し、沢をつめていく。

雨の沢は滑りやすい。

時間を忘れるほど集中していた。

どのくらい歩いただろう。

沢が細くなってきたところで、「水」と書かれた岩を発見した。

『山と高原地図』にある水場のマークは、これのことだろうか。

そこからすぐ、沢は終わった。

気が付けば、靴、靴下、パンツまでずぶ濡れになっていた。


ここからは、道なりに進めばいい。

ところどころ分かりにくい場所もあるが、道探しは今までよりもはるかに簡単だ。

時折、風に乗った雨粒が強くあたる中、針ノ木小屋を目指して黙々と歩いた。

雷が鳴りませんように。

もし雷が鳴れば、小屋から先の稜線歩きは危険だ。

小屋で待機が無難だろう。

そうすると、船窪へ戻れないかもしれない。

木々がまばらになり、視界が開けるが、雲に阻まれて遠くの景色は見えない。

お腹が鳴って、空腹に気づく。

行動食をつまみ、水分補給をする。

あーあ、霞食って生きていけたら最高なんだけどな・・・

白いガスの中、そんなことを考えながら歩いてゆくと、風の音にまじって「ブォーン・・・」という低い音が聞こえた。

発電機のタービンを回す音だろうか?

とにかく人口の音だ。小屋が近い!!

自然と足取りが軽くなる。

針ノ木小屋は、本当にすぐそこにあった。

針ノ木小屋

出発してからここまで、4時間20分。

意外と早く辿り着けて良かった。

一時はどうなることかと思ったけれど、振り返れば楽しい沢歩きだったな。

ここまでの道程を思い出すと、少しにやけた。

どんなに大変でも、結局山にいられればそれだけで満足だから不思議だ。

ここからは稜線歩き。

レインの下を装備して、強風への備えをする。

風、あんまり強くないといいな。

どうぞお手柔らかに・・・

誰に言うでもなくそうつぶやいて、蓮華岳へ歩き出した。


3へつづく

うめこ

    
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