船窪小屋をたずねて3 -針ノ木小屋→北葛乗越-

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なんだか素敵なことが起こる気がする、という予感を信じて

針ノ木小屋、蓮華岳、北葛岳、七倉岳を経て、船窪のテン場に戻るというコースに決定。

渡渉で靴はぐちゃぐちゃ、雨に打たれてパンツまでずぶ濡れになりながらも、無事に針ノ木小屋までたどりつく。

船窪まで戻らなくちゃ。

稜線歩きに備えてレインウェアの下を装備し、再び歩き出した。

<2日目 針ノ木小屋→蓮華岳>

足元は砂利、ハイマツ帯の中の道を進む。

勾配はそこまで急ではない。

風も、思ったほど強くはない。

天気は小雨。

展望なし。

コマクサあり!!

白いコマクサもあり!!!

可憐な姿に、思わず笑みがこぼれる。

笑みがこぼれるというと聞こえはいいけれど、一人でお花見てニヤニヤしながら山を歩いてる人がいたら怪しいんだろうな。

時折強い風にあおられながらも、気分は高揚していた。

思わず「こまくさー!!!!」と叫んだ。

なんだろう。すごく楽しい。

白い世界をルンルン歩いていると、あっという間に蓮華岳のピークに辿り着いていた。

蓮華岳

針ノ木小屋からここまでは約1時間。

標識によると、ここから北葛岳まで2時間30分、北葛岳から七倉岳までは2時間、小屋は七倉からすぐのようだ。

地図を見ると、この先は「蓮華の大下り」と呼ばれているらしい。

どんな道が続いているのだろう。

ワクワクしながら先に進んだ。

<2日目 蓮華岳→北葛乗越>

「えっさ、ほいさ、こまくさ!えっさ、ほいさ、こまくさ!」

気がつくと私は、意味不明な掛け声を発しながら大下りを走っていた。

足元はガレ場というよりは砂利っぽく、ジグザグと高度を下げていく。

道端には、コマクサが群生している。

ガスってるけど、最高にいい気分。

風も強いけど、それも気持ちいい。

ふと前方を見ると、ガスの流れが切れたところでうっすらと山の影が見えた。

もしかして目指す北葛岳かも!?

そこから私の掛け声は、歌に変わった。

「走り出した足が止まら~ない♪ 行け!行け!あの山のところまで♪

生まれ変われる気がするんだ 風!風!導いておくれよ♪」

(チャットモンチー「風吹けば恋」、一部替え歌)

山の神様しか聞いていないのをいいことに、大きな声で気持ちよく歌った。

神様はきっと、うるさいのが来た・・・と思ったに違いない。

次第に岩場やハシゴが現れるようになり、音楽タイムは終了。

岩と岩の隙間に、イワギキョウがたたずんでいる。美しい。

ときどき両手も使いながら下っていくと、北葛岳の登りがはっきりと見えた。

おや、前方に人が2人。進行方向は同じようだ。

今日は人には会わないだろうと思っていたので、嬉しくなった。

「こんにちは~!!」

このとき私は、自分で思っている以上に元気に笑顔であいさつしたらしい。

10分ほど、どこから来てどこへ向かうのか、など色々なことをお話ししたあと、

「アンパンマンに会った気分になりました」と言ってもらえた(笑)

ガスと風の中、蓮華の大下りを下って心が折れそうだったところに、無駄に笑顔で元気に現れたのが私だったとのこと。

愛と勇気を提供できたようだ。

2人はとても親切に話しかけてくれたうえに、飴をくれた。

どんな関係なのかは分からないから、こんなことを言うのは失礼かもしれないけれど、夫婦漫才を見ているみたいな、ほんわかとした空気にとても癒された。

やっぱり、山で人と話すのって楽しい。

これから北葛乗越を登っていくというところで、楽しい時間を過ごさせていただいた。

今朝の素敵なことが起こりそうな予感は、きっとこの2人に出会えることだったんだ。

心がものすごく元気になった。

「またあとで会えそうだし、明日も会えるかもしれないですね!」

「またね、お気をつけて~」

もう少し休憩していくという2人に見送られて、北葛乗越を登り始めた。

心は完全に晴れ。

天気も、時々遠くの山稜が見えるようになってきた。

ゴールが見えてきた山行、このあと何が起こるのか、期待に胸が躍った。


4につづく

うめこ

    
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