北葛乗越を前に、とても素敵な2人に出会った。
お互いに元気をチャージできたようだ。
すっかりハツラツとした心を携えて、北葛乗越を登った。
面白い2人だったなぁ。
また会えたらいいな。
そんなことを考えて、ニヤニヤしながら北葛乗越を登っていく。
ちょうど見ごろのニッコウキスゲにも遭遇した。
そういえば、今年はまだ霧ヶ峰のニッコウキスゲを見ていない。
急に、霧ヶ峰が恋しくなった。
山にいながら他の山を想うなんて、山に失礼だ。
でも、山を下りたら大好きな霧ヶ峰に行こう。
次の休みの予定が決まった。
1時間ほどだろうか、白いガスの中から、聞き覚えのある声が・・・
ライチョウだ!!
登山道の真ん中に、ライチョウの姿を発見した!!!
(ライチョウを探せ!)
(よーく見ると、画面中央にいます。小さく映ってます。
ハイマツと地面に同化して、目立ちません。)
コロんとした愛らしい見た目。
私にとって、「会いに行けるアイドル」はライチョウだ。
登っていくと、ライチョウも登山道を登っていく。
うめ「逃げないの?」
ライ「・・・・(タタタタタッ)」
うめ「どこまで行くの?」
ライ「・・・・(タタタタタッ)」
うめ「ねぇ、」
私と一定の距離を置いて、山頂へ歩いていくライチョウ。
うめ「案内してくれてるの?」
ライ「・・・・(タタタタタッ)」
普通ならハイマツの中へ逃げていくことが多いライチョウだが、なぜか今回は登山道をひたすら登っていく。
うめ「あなた、神様なの?」
ライ「・・・・(タタタタタッ)」
・・・完全にジブリ入っててすみません。
別に何の宗教を信じているわけではないけれど、自然の中には神様がいると思える瞬間がある。
きっと神様の化身か、お使いなんだろうなぁ。
勝手にそう思いながら、ありがたがってライチョウの後について登った。
あっという間に北葛岳のピークに到着。
蓮華岳からここまで、2時間ほど。
ここから七倉までは、コースタイムで2時間くらい。
また下って登るんだなぁ~
その先が小屋かなぁ~
天気がほんの少し回復したので、のんびりとそんなことを考えて下り始めた。
それにしてもライチョウ、ずっと私の道案内をしてくれている・・・
うめ「どこまで案内してくれるの?」
そう聞いたら、道端の岩に登って、風に乗って遠くへ。
ライ「・・・(サー)」
神様は、羽ばたきもせずにハイマツの森へと消えていった。
うめ「あーりーがーとーう!!」
あらゆる生物にたいして話しかける癖を、今さら直そうとは思わない・・・
でも、話しかけているところは、誰にも見られたくない。
知らない人から見たら、きっと不審者だと思うの。でもいいの。
少しずつガスが切れることも多くなり、遠くの景色が見えるようになってきた。
すると、目の前に山が現れた。
あれが七倉乗越か!
よーし、乗越ちゃうよ~ん♪
遠くから見た感じ、いくつかピークを超えるようだ。
「偽ピーク」とやらに惑わされないように、気をしっかり持とう。
そう言って、気持ちを入れ替えて登りに突入した。
登っていると、ガスが切れ、青空まで見えるようになってきた。
ずっと白い世界にいると、空の青がとても美しく見える。
しばらく、空の色に見とれていた。
あとどのくらいで七倉のピークだろう?
でも、晴れてきたから、もうどこまで歩いたっていいや。
やっぱり晴れの日の山歩きは気持ちいいなぁ~
午前の針ノ木谷の必死さはどこへやら、のんびりと歩いた。
顔はにやけていたに違いない。
幸せな気分で歩いていると、七倉岳山頂に到着した。
ここからすぐに小屋だ。
お腹もすいたし、早く一息つきたいなぁ~
すぐに分岐に到着。
小屋番さんが私を見つけて鐘を鳴らしてくれた。
嬉しくなって、気づいたら走り出していた。
到着したら、お茶を出していただいた。やったぁ♪
お茶を飲み干すと、長めの一日に、終止符を打った気分になった。
時計は14時15分を指していた。
少し遅いお昼ご飯、昨日食べようと思っていたジンギスカンと白米。
傷んでいないか心配だったけど、大丈夫だった。
隣で自炊していた方が、ナスの漬物とキュウリをくれた。
山で生のものが食べられるというのは、すごくありがたい。
ひたすら感謝した。
ご飯のあとは、囲炉裏を囲みながら、ベテランの登山者の方のお話しに混ぜていただいた。
山について思うことはみんなそれぞれ、すごく充実した時間だった。
夕飯時となり、そろそろテン場に戻ろうとしていたところ、小屋番さんがスイカをくれた。
「2日遊びにきてくれたので、スイカあげるっ」
今年初めてのスイカ。嬉しい。みずみずしくてすごく美味しい。
「今度は泊まりに来てね。そしたらもっと色々わかると思う」と言っていただいた。
どうしよう、心に沁みすぎて涙が出そう。
暖かさに包まれて、私はテン場へ戻った。
テン場には、私のほかにもう1張しかなかった。
平和だなぁ。
こうして当たり前のように一日が終わっていく。
私が笑おうが泣こうが、山にいようが里にいようが、陽は昇ってまた沈んで、それをずっと繰り返す。
そんな当たり前のことを、すごく平和で、ありがたいと思った。
すっかり日が暮れたので、テントに入った。
明日は下山。下山か。下山ね。
山の基本は早出早着だけど、好きなだけ寝ていよう。
帰りたくないな。
そう思いながら、知らない間に眠っていた。
うめこ
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